1.アンケート実施の背景
〇令和2年5月2日に「精神科救急病棟の病床数制限にかかる会議(仮)」(以下「仮会議」という。)をwebで開催し、仮会議に参加した医療機関で実施したアンケートの報告を行った。
〇仮会議において、精神科救急入院料を届出している参加医療機関における医療実績の平均値が、平均在院日数や入院後3か月時点、6か月時点、1年時点の退院率、再入院率などの多くの点で、全国調査(平成30年度630調査結果)による精神科病院の医療実績の平均値を大きく上回るパフォーマンスを保有していることが一応の共通認識として確認された。
〇これを受け、平成30年度診療報酬改定で定められた精神科救急入院料の病床数上限(精神病床300床以下の場合60床、300床を超える場合は精神病床の2割以下)を超えており、令和2年度診療報酬改定において令和4年3月31日までの経過措置の対象となっている精神科救急入院料の病床数削減対象病院(以下「削減対象病院」という。)39医療機関に対してアンケートを実施することが決定した。
2.アンケートの配付と回収状況
〇削減対象病院にアンケートを送付するにあたり、一般社団法人日本精神科救急学会及び仮会議参加者12人が発起人となり、 「精神科救急病棟の病床数制限にかかる作業部会(仮)」(以下「作業部会」という。)を設置した。
〇削減対象病院に依頼するアンケートの実施者は作業部会となり、発起人以外の削減対象病院29医療機関に対して、発起人が事前にアンケートの趣旨説明を電話で行った。
〇早期に準備が整った医療法人29医療機関(自治体病院9機関及び大学病院1機関を除く)でアンケートを先行し、期限内に回答があった26医療機関の分析結果を令和2年6月1日に発起人に公表、7月4日のweb会議では資料の利活用(自治体への開示等)について承諾を得た。
〇医療法人と併行して準備をしていた自治体病院等も準備が整い、全ての削減対象病院39医療機関のうち35医療機関の分析結果を7月18日に公表し、最終的に37医療機関分をここに報告する。
3.アンケートの目的
〇仮会議で報告したアンケートでは、精神科救急入院料を届出している病院が高いパフォーマンスを発揮していることが共通認識となった(再掲)が、一方では、削減対象病院の優位性がほとんど示されていないという指摘もあった。
〇こうした背景から、今回のアンケートでは、削減対象病院だけを対象として集計しており、仮会議で報告したアンケートに参加した病院のうち、削減対象病院ではない病院は集計から除外した。
〇削減対象病院の優位性を示すには、削減対象とならない病院との比較が最も簡単であるが、当該比較は、削減対象とならない病院のデータが必要である他、削減対象病院と削減対象とならない病院との意図しない確執に発展する可能性があるため、削減対象病院の実績と既に公表されている630調査結果全病院の実績値、以下「全国病院」という。)との比較検討に止めた。
〇また、個別医療機関の判別不能性の確保については十分配慮している。
4.アンケートの分析手法
〇今回のアンケートは、医療実績の分析により削減対象病院の優位性を示す(再掲)ことが、大きな目的であり、削減対象病院の医療実績を次のとおり比較検証した。
①全国調査結果(630調査等)が公表されている項目については、全国調査結果と削減対象病院の医療実績との比較により、削減対象病院の優位性を示した。
②精神科救急入院料の中核的要件である入院患者数、退院率、再入院率、夜間・休日日中の診療件数(外来・入院)、病床利用率、平均在院日数等については、削減対象病院を精神科救急入院料の病床数でグループ化(注)し、精神科救急入院料の病床数と医療実績との相関をエビデンス化すると同時に、精神科救急入院料の病床数と医療実績との相関等について検証した。
注)精神科救急入院料の病床数別に医療実績を検証するため、精神科救急入院料100床未満のグループ、同100床以上150床未満のグループ、同150床以上のグループに区分した。
ただし、自治体病院は、精神科救急入院料の病床数に関わらず独立のグループとしている。