はじめに 

 

わが国は、OECD諸国の中で特に精神病床が多く、そのために長期入院患者が増加し、長期入院の是正が長年の懸案であった。精神科医療における収容政策への反省から、「入院医療中心から地域生活中心へ」の理念のもと、地域移行が進められてきた。
 

長期入院は時代とともに変革が求められ、入院の短縮化と新たな長期入院を生まない仕組みづくりが必要とされた。そういった流れのなかで、平成14年に精神科救急入院料が新設された。精神科救急入院料は、3か月以内の短期入院が基準化され、その結果、平均入院期間が短縮するとともに、地域精神医療の中で重要な役割を担うようになった。精神科救急病棟は、高規格で高機能であるために、地域のニーズに応える形で精神科救急病床数が次第に増加し、我々のような病院が複数の救急病棟を持つに至った。
 

ところが、平成30年の診療報酬改定で精神科救急入院料の病床数に上限が設定され、総病床数300床以下は60床まで、300床を超える場合は2割までとなり、この時点では、超過病床はそのまま維持できるものとされた。さらに、令和2年の診療報酬改定でこの超過病床数の維持に期限が定められ令和4年3月31日までとされた。これは、上限を超えて当該病床を有する病院が経過措置終了後に超過分の救急病床を削減させられることを意味している。
 

全国に精神科救急入院料を算定する病院は159施設あるが、その約4分の1にあたる39施設が救急病床の削減対象となっている。経過措置終了後、救急病床が削減された病院は、かつてないほどの診療報酬が激減し、精神科救急入院料の基準を満たすために投資した建築費や人件費といった膨大な経費が今後の病院経営に過度な負担となる。
 

厚生労働省は、診療報酬で経済的インセンティブを与えて、精神病床の救急・急性期化を推進してきた。我々削減対象病院は、国の政策に応じて、精神科救急・急性期医療体制の構築に積極的に関与し、精神科病院の入院の短縮化と地域医療に貢献してきた。このような病院に対して、前代未聞の診療報酬の削減を強いることは絶対に避けなければならない。
 

こうした思いから、我々は、経過措置終了後に精神科救急入院料が削減されることを受け、精神科救急・急性期医療の質を守り、向上させることを目的として、令和2年8月22日に「精神科救急・急性期医療を守る会」を結成した。
 

今回、精神科救急病棟の削減対象病院にアンケート調査を実施し、その結果を取りまとめた。アンケート結果は、あらゆる指標において削減対象病院が高いレベルで救急・急性期機能を有していることを示している。また、救急病床数が多いほど高機能と認められる指標も確認されている。広くこの事実を知っていただくために、ここにその結果を公表する。

 

 

 

 

精神科救急入院料病棟とは

 
精神科救急医療を中心的に担う高規格の精神科専門病棟。スーパー救急病棟とも呼ばれている。
2002年、診療報酬表に掲載された精神科専門病棟。技術料としての診療報酬の上では、1996年に新設された精神科急性期治療病棟をしのぐという意味で、「スーパー救急病棟」と呼ばれ、精神科で最も高い医療費(2008年4月現在、1日定額約34,000円、精神療法などは別料金)が設定されています。
 
その代わりに、病棟専従医師が入院患者16人に1人以上、精神保健指定医が病院全体で5人以上いること、看護師がこの病棟の入院患者10人に常時1人以上配属されていること、病棟専従の精神保健福祉士が2人以上配属されていること、個室が病床数の半数以上を占めることなど、現在の精神科の中では高規格の施設基準を満たさなければなりません。
 
また、運用面においても、精神科救急医療体制整備事業に参加していること、年間の入院患者の6割以上が非自発入院(任意入院でない入院)であること、4割以上が新規入院患者(3ヶ月以内に精神科への入院歴がない患者)であること、6割以上が3ヶ月以内に自宅退院すること、などの条件が課されています。(引用:厚生労働省 e-ヘルスネット)

 

 

 

 

 

 

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